北海道移住計画 - 住居篇 其の九 -

営業の男性の方に、仕事が決まっていないことを正直に話す。

「大丈夫ですよ」

え？

「そういう方は結構おられます。現在の収入でローンが組めますよ」

いやいや、今はいいかもしれんが、来てから仕事が見つからなかったらどうするつもり？

「コンピュータ関係のお仕事ということであれば、銀行もOKしてくれます。私が掛け合います」

この一言で北海道にマンションを購入することに気持ちが傾いた。
少なくとも、仕事が決まっていなくても買えるものだと、甘く考えてしまった。
これならいつでも買える、と。
もちろんこの時点で実際にマンションが購入できたわけではないのだが。

「東京からこられたんですか、私もそうなんです。こっちは住みやすくていいですよ」

営業の方が言われることである。ほとんどが営業トークであろう。
それでも、実際は不安だらけだった私はかなり救われた気がする。
そして、イケイケだった嫁さんはかなり乗り気になったのは言うまでもない。

その後、他のマンションも見て、その中から決めたほうが良い、ということまで親切に教えていただき、おろかな何も知らない夫婦は感動したままその場を後にした。

もちろん北海道移住が以前より現実のものとなって。